2015年11月06日

国際シンポジウム「読みたい!日本の古典籍」

2016年2月17日(水)、大阪大学豊中キャンパス内、大阪大学会館アセンブリー・ホールで、国際シンポジウム「読みたい!日本の古典籍―歴史的典籍の画像データベース構築とくずし字教育の現状と展望」を開催いたします。告知第1弾ですが、今後も何度か告知いたします。
また、学会や研究会などに関係者がチラシを持参し、配布させていただくことがございます。よろしくお願いいたします。

この国際シンポジウムですが、世界各地から「画像データベース構築」と「くずし字教育」に関わる研究者・ライブラリアンをお招きし、その実践についてお話しいただきます。チラシをつけておきます。裏もあります。英文版です。

○国文研古典籍共同事業センターの山本和明さんが、国文学研究資料館の古典籍デジタル化戦略の現在について、○京大理学研究科の中西一郎先生が、古地震研究におけるくずし字解読の実践について、○阪大文学研究科の矢田勉さんが、変体仮名の文字コード標準化についてお話くださいます。海外からは、○ソウル大の金時徳さん、○ハイデルベルク大のユーディット・アロカイさん、○ケンブリッジ大のラウラ・モレッティさん、○UCLA図書館のトッド・グラボーンさんとバイアロック知子さんらが、それぞれの実践についてお話ししてくださいます。

そして今回の目玉は、プログラマにして京大文学研究科博士後期課程に在学中の橋本雄太さんを中心に、我々のプロジェクトチームで開発している「くずし字学習支援アプリ」のデモを行うことでしょうか。興味のあるかた、今から2月17日(水)は予定を空けておいてください!

今回の催しは、大阪大学文学研究科・国文学研究資料館・科研(挑戦的萌芽研究)主催、日本近世文学会後援です。国文学研究資料館の今西館長もお見えになり、閉会のご挨拶をしていただきます。
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2015年11月05日

日本古典籍デジタル化に関わる国際シンポジウム

日本古典籍のデジタル化と、くずし字解読(学習)に関わる話題が今年ほど出てきた年はないだろう。
今や、この動き、世界的にトレンドであることは、UCLAで行われたくずし字ワークショップや変体仮名アプリの開発、そしてケンブリッジ大学が行っている和本リテラシーのサマースクールなど、もはや否定できないだろう。日本でも日本近世文学会が和本リテラシーニューズを創刊し、ゲーム界でも「刀剣乱舞」のユーザーの中にくずし字に関心をもつ人が少なくないという。我々のくずし字教育プロジェクトにも大きな反響があり、プロジェクトの公式ブログ(Google+)の閲覧数は1万を超えている。
といいつつ、もちろん大部分の一般の人からみれば、「はあ?なにそれ?」というところかもしれない。
そういう現実はきちんと見詰めつつ、ともかくも前向きに進みましょう。

さて、世界的にトレンドだなんて大げさなと思われる向きもあろうが、下記のような国際シンポジウムが行われるのである。ドイツのハイデルベルク大学。初日はなんと、「くずし字教育の現在―ヨーロッパと日本―」である。まさにこういうことで意見交換される時代になっているということなのである。
 やはり国文研の大型プロジェクトの発進が、この動きを加速していることは確かである。原本で読みたいというのは、人間の本能に近い好奇心であって、読めるかもしれない!と思ったら、その気持ちは抑えられないだろう。くずし字アプリの性能向上と普及で、英語学習のように、くずし字学習ができるようになれば、日本の古典籍デジタル資料の活用が一気に増加することもありうるだろう。

2015年11月12-14日 「日本の歴史的典籍とそのデジタル化 −研究及び教育に与える影響」
− Japanese Pre-Modern Texts and their Digitalization: Effects on Research and Teaching
2015年11月12日(木)16:00 – 18:30
(会場: ハイデルベルク大学、日本学科、107番教室、アカデミー通り 4-8)
パート I: 日本古典研究のための基礎技術を教える
パネル・ディスカッション:くずし字教育の現在 −ヨーロッパと日本−
報告:ユディット・アロカイ、ドミニク・ウルナー、飯倉洋一、合山林太カ

2015年11月13日(金)
(会場: ハイデルベルク大学、マルシリウス講堂、ハウプト通り232-234)
ディスカッサント:イフォ・スミッツ(ライデン大学) ハイディ・ブック=アルブレット(ハイデルベルク大学)
パート II: 日本古典文学の射程 −研究の国際化に向けて−
10:00 ユディット・アロカイ(ハイデルベルク大学)
ドイツにおける日本古典文学の研究―伝統と展望―
11:00 盛田帝子 (大手前大学)
近世和歌の翻訳の試み
12:00 合山林太郎(大阪大学)
明清時代の中国の文学理論とその近世日本文化における影響

パート III: 日本の古典籍・歴史資料のデジタル化における新潮流
14:30 山本和明 (国文学研究資料館)
日本の古典籍のデジタル化における国文学研究資料館の戦略
「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」
15:30 奥田倫子 (国立国会図書館)
国立国会図書館のデジタル・コレクション
16:30 休憩
17:00 ウルズラ・フラッヘ (ベルリン国立図書館) ベルリン国立図書館における東アジア関係デジタル・コレクション
18:00 飯倉洋一(大阪大学)
デジタル資料を活用したくずし字読解の教育方法の開発


2015年11月14日(土) 10:00 – 12:00
(会場: ハイデルベルク大学、日本学科、107番教室、アカデミー通り 4-8)
討論:総括と今後の展望
Sponsored by the Excellence Initiative II of Heidelberg University
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2015年10月30日

鈴木加成太さん

角川書店『短歌』十一月号に、今年の角川短歌賞が発表されている。鈴木加成太さんの「革靴とスニーカー」。やったな!思わずいいたい。彼はまぎれもなく大阪大学文学部日本文学国語学専修の四回生である。そして、卒論のテーマは、近世演劇の趣向を戯作がどう取り込んだかというもの。つまり私のゼミに所属している。もっとも、短歌は専修の勉強とはほとんど関わらない内容で、日本文学のことは歌われない。「文献」という語は出てきてそれがちょっと嬉しかったが。連作のタイトルは「革靴とスニーカー」で、革靴が就活を、スニーカーが学生生活を象徴しているようだ。やわらかくて繊細な言葉使いで、日常のさりげない場面を、優しく、どこかさびしげに歌う。そうかと思うと、夢の中のシャボン玉のようなつかみどころのない、空想的世界が織り交ざる。

 着てみれば意外と柔らかいスーツ、意外と持ちにくい黒かばん
 少年期への帰路を失くして見る窓に学生街をつつむ夕焼け
 二階建ての数式が0に着くまでのうつくしい銀河系のよりみち
 夕焼けの浸水の中立ち尽くすピアノにほそき三本の脚

彼の世界というものを表現できているように思うし、引きだしを多く持っていると感じる。そしてまだまだ伸びしろがあるように思う。就活に対する違和感が連作のモチーフだ。欲を言えば、もうひとつ何かが足りない。論理のようなものかな。それがないためふわふわしてるが、それがいいともいえる。この辺は好みの問題だ。

 少しだけ彼の今を知る私としては、ちょっと語りたい衝動に駆られるが、まあ我慢しておこう。
そして、私が驚いたのは、次席が、佐佐木定綱氏であったということ。日本を代表する歌人のひとり佐佐木幸綱氏の御子息である。これは鈴木さんが将来歌人として大成したら、たぶん定綱さんも歌壇を引っ張る人になっているだろうから、あの時の角川短歌賞は・・・って語りぐさになりそうですね。
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中尾松泉堂100周年記念展示即売会に行きました

中尾松泉堂の百周年記念展示即売会二日目の29日。ゼミの学生ら数人を伴い、大阪美術倶楽部へ。会場に到着すると、何やら物色中の見慣れたお方の姿が目に入った。同僚のOさんだった。ご覧になっていたのは、懐徳堂関係資料一括。一五八冊の中には、「おおっ」というものが少なからず。しかも伝来を伺うと、これ以上ない筋のよいもの。早速Oさんと密談密談。
見栄えがするといえば、若冲の乗興舟。何度か見たことがあるが、全部を披いているというのは初めて見た。まさに船旅をゆっくり味わえる至福。
で、永代蔵(150万円)を見せてもらっていると、K大のO先生から「会議さぼってきたの?」と言われて、あ、そういえば会議があると思い込んでいて、ブログにも書いたのだが、それは私の勘違いで、幸い会議はなかったのです。来れてよかった。
興味深い貼込帖、戯作の稿本、これは展示物の芭蕉自筆(議論あり)の奥の細道。蕪村・其角など自筆のものも多くありました。
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2015年10月27日

絵入本ワークショップ[

 佐藤悟さんから、ご案内が届きました。すこぶる豪華な顔ぶれ。充実しております。あいにく当日は海外出張。これまでこのワークショップは1回しか参加できていない。まことに残念です。阪大院生の有澤さんも京伝で発表しますが、京伝は3つも発表があるようですね。

絵入本ワークショップ[発表プラン
会場 実践女子大学 東京都渋谷区東1−1−49

12月12日(土)午後
山本嘉孝  「施本における刑罰の絵 ― 山本北山『むかしありしこと』について」 東京大学大学院
山田和人   「ボストン美術館所蔵 竹田からくり絵尽し『国性爺合戦』「からくり九仙山操音曲」について」 同志社大学
松原哲子   「赤本論」 実践女子大学
木村八重子 「国立国会図書館蔵『ふくじん』について」

12月13日(日)午前
日比谷孟俊 「浮世絵に見る新吉原尾張出身者の活動」 慶應義塾大学
岩田和夫  「版木の再利用―初代豊国の役者絵を中心として―」
服部仁   「八代目市川團十郎−幼少期より襲名頃まで− 付 焉馬筆「市川團十郎家譜伝来之記」等」 同朋大学
延広真治  「朝倉無声蒐集「観場画譜」をめぐって」

12月13日(日)午後
鈴木奈生  「京伝作品と浮世絵―〈絵兄弟〉を例に―」 千葉大学大学院
有澤知世  「京伝と中良―京伝作品における異国意匠をてがかりに―」 大阪大学大学院・日本学術振興会特別研究員
神谷勝広  「京伝の飾り枠―『唐詩選画本』『唐土名勝図会』『唐土訓蒙図彙』利用―」 同志社大学
井上泰至  「幕末絵本読本の「古代」」 防衛大学校
鈴木 淳  「シーボルトと『北斎写真画譜』」
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2015年10月26日

前期読本における「世話」

 「上方読本を読む会」というのを長いことやっているのだが、時々、その成果として、メンバーが論文を発表することがある。
 木越俊介さんの「前期読本における「世話」」(『日本文学』2015年10月号)も、そのひとつだが、大きな構想の中で、我々の読んでいる『新斎夜語』の一話を位置付けている。それが「世話」だ。近年、短編読本集の編集意識という観点から、この世話的な話柄のことを考えていたのだが、たとえば「学説寓言」のような系譜として位置付けるというのは、中本型読本を研究してきた木越さんならではで、後期読本までを射程にしているのだろう。
 大きな見通しを持った好論であろう。
 木越さんが取り上げた一編は、最近中村綾さんが、京都近世小説研究会で典拠考を発表したものだ。中村さんのもどこかに発表していただければありがたい。ちなみに私も今年中に『新斎夜語』の一篇を取り上げた拙論を発表する。別話だけど。
 ついでながら、この号に、日本文学協会の大会の予告が載っているが、羅生門のシンポジウムはなかなか面白そうであるな。残念ながら聞けないが。
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国文学論文目録データベースの、あまりよく知られていないこと

同じ国文研ニューズに載る「「国文学論文目録データベース」の、あまりよく知られていないこと」(浅田徹氏)
は、国文学研究者・学生必読。

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2015年10月16日

くずし字学習アプリ開発中間報告します。

さて、くずし字科研プロジェクトが、突然ゲリラ的に研究会を開催することになりました。
1週間後です。興味のある方で、お時間空いているかたは是非。
そしてご意見を賜れば幸い至極に存じます。

公開研究会(タイトルはすべて仮題です)

海外における日本研究の現状とくずし字教育の新たな試み

◎日時:2015年10月23日(金)16:40〜18:10
◎場所:大阪大学文学部棟 2階 大会議室
参加無料。どなたでも参加できます。
発表@
橋本雄太(京都大学・院)
「くずし字学習アプリの開発の現段階」

発表A
久田行雄(大阪大学・院)
「くずし字学習アプリのための文字・用例収集」

発表B
Jonathan Zwicker(ミシガン大学)
「ミシガン大学における日本研究」

◎主催: 科研挑戦的萌芽研究「日本の歴史的典籍に関する国際的教育プログラムの開発」(代表者 飯倉洋一)
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2015年10月12日

中尾松泉堂書店100周年

10月28日(水)・29日(木)の両日、中尾松泉堂書店の100周年記念展示即売会・展覧会・講演会が大阪美術倶楽部で催される。

展示即売会への出品もさすがにすごいものが多数出ているが、それとは別に展覧品があって、
「奥の細道」 自筆本
「奈良絵本 住吉物語」 秀頼本
「西鶴 住吉大矢数第1句」 西鶴自筆短冊
「蒹葭堂来翰集」 司馬江漢他
「芥子園画伝 第三集」 蒹葭堂旧蔵
「澄清堂法帖」 中村不折旧蔵
「九段牛ケ淵」 北斎画
が展覧されるそうである。

また記念講演会が予定されている。
10月28日
「中尾松泉堂と私」水田紀久先生 午後1時〜
「狂歌版本百面相」中野眞作先生 午後2時40分〜
10月29日
「古筆の価値」田中登先生 午後1時〜
「淀川の文事と絵事」井田太郎先生午後2時40分〜

水・木というのがねえ。水は午前午後授業、木は午前授業午後会議だし。なんとか考えてみよう。 

展示目録の巻頭は、大阪天満宮の近江晴子さんによる先代中尾堅一郎氏のインタビュー記事(『大阪人』再録)だが、これが面白すぎる。            

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2015年09月24日

くずし字教育プロジェクトの公式ブログ誕生

くずし字教育プロジェクトの公式ブログが誕生いたしました。
特任助教の康盛国さんが作ってくれました。

https://plus.google.com/104467959383842469455/posts



いま、我々が開発中の「くずし字解読学習支援アプリ」のコードネームをどうするか、がチーム内の打ち合わせで話題になりました。これは公募しています。

またくずし解読学習支援アプリの開発のためのアンケートを実施中です。大変貴重なご意見をたくさんいただき、参考にしております。どうもありがとうございました。アンケートはまもなく終了いたします。





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2015年09月22日

4月イベント「町人文化を味わう」のレポート

半年ほど前のお話で申し訳ありませんが・・・・。
上方文化芸能運営委員会(関西・大阪21世紀協会)は、4月13日(月)に、「町人文化を味わう」というツアーを企画しました。これ、本ブログではとりあげてませんでしたね。

適塾見学(阪大村田路人先生の解説)→大川で屋形船に乗り沿岸の桜を楽しみながら食事→中之島センターで「懐徳堂と町人文化」の講演(ここを小生が担当)→文楽劇場で観劇。

このフルコース。お値段もたいへんリーズナブル。たちまち定員に達して、屋形船は超満員でした。

さて、このツアーに、富士精版印刷株式会社の小金陽介さんが参加されており、その立派なレポートを、広報誌「富士」168号(2015年7月)に書かれております。小生の講演時の写真や講演内容の紹介が載っているのみならず、拙著『上田秋成 絆としての文芸』まで読んでいただき、その本格的なブックレビューまでしていただきました。一般の方のレビューを誌面で拝読するのは初めてですが、関連の秋成関係の本を紹介していただいているほか、「菊花の約」がなぜ加古川を舞台に選んだのかの考察など、非常に参考になる文章です。

広報誌はB5判3段組で80頁をこえる豊かな内容で、小金さんの文章も6頁に及ぶ力作。
随分前にいただいたのですが、ご紹介が大変遅くなってしまいました。お詫びいたしますとともに、この場をお借りして御礼申し上げます。
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2015年09月03日

滑稽本出版年譜稿

吉丸雄哉さんの滑稽本出版年譜稿。ご労作。三重大学日本語学文学。
しかもただちにネット公開。ありがたいですね。

http://miuse.mie-u.ac.jp/bitstream/10076/14671/1/10C17464.pdf
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2015年08月31日

くずし字学習アプリ開発のためのアンケート実施中

(当面、このエントリーが先頭に来ます)
私たちの科研(挑戦的萌芽研究)プロジェクト「日本語の歴史的典籍に関する国際的教育プログラムの開発」では、くずし字をスマホで学習するアプリの開発を行うため、「くずし字学習・教育」に関するアンケートをWeb上で実施しています(日本語・英語)。くずし字を読みたい!と思っているすべての人々は、このアンケートにお答えいただければ幸いです(主として海外の方を想定していますが、日本人の方も大歓迎です)。アンケート回答時間は3分ほどです。アンケートにお答えくださった方のうち、連絡先を教えてくださった方には、アプリ試作版が完成した際にご連絡いたします。

アンケート回答のURL
http://goo.gl/forms/9MvSY0JAD5

【アンケートの冒頭】
日本語の歴史的典籍及びくずし字の学習・教育に関するアンケート
QUESTIONNAIRE ON LEARNING AND TEACHING PRE-MODERN JAPANESE TEXTS AND KUZUSHIJI (HENTAIGANA AND CURSIVE SCRIPT)

このプロジェクトでは、主として外国の研究者・学生の方を対象とする、日本語の歴史的典籍の効率的学習・教育のためのメソッド開発を目指しています。日本語の歴史的典籍とは、1867年以前(江戸時代以前)に書かれた、変体仮名などの古い日本語の字体で書かれた書籍のことを指します。
The purpose of this project is to develop a methodology for assisting mainly foreign researchers and students in learning and teaching pre-modern Japanese texts effectively. The term “pre-modern Japanese texts” designates any text that is written before 1867 (up to Edo period) using obsolete Japanese script such as hentaigana (lit. variant kana).
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下記のリンクからアンケートに回答してくださいますようお願いします。記述回答は、日本語または英語でお願いします。
Please answer the Questionnaire from he following link. If the question requires your description or comments, you can write in either Japanese or English.

http://goo.gl/forms/9MvSY0JAD5
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2015年08月29日

もうひとつの大石良雄逸話

山科蟄居の時、北野天満宮に息子大三郎を連れて行った大石良雄。絵馬堂で宇治川先陣や草摺引の絵馬を見ていたら、息子が馬上で琵琶をひく王昭君の絵馬を指して「あれは?」そこで王昭君悲話をひとくさり、大江朝綱の漢詩「王昭君」を朗詠していると、社僧が通りかかってその詠み方はどうかと非難する。わけを聞くと徒然草をふまえつつ「名利」の説を説く。含むところあった良雄は感銘を受ける。再び社僧を訪ねたときには、姿を消していた。もちろん虚構の逸話。

初期読本『新斎夜語』の第一話である。この話をどう読み解けばよいのか。いちおう考えたところを本日の京都近世小説研究会で発表します。15時から同志社女子大学栄光館で。先鋒の中村綾さんも『新斎夜語』第七話の典拠について発表をします。『新斎夜語』、徳田武先生の研究くらいしかありませんが、なかなか面白いです。
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2015年08月02日

あるようにあり、なるようになる

 入不二基義さんの新著『あるようにあり、なるようになる 運命論の運命』(講談社、2015年7月)が刊行された。運命論というのは、上田秋成の中にもあって、それは王充『論衡』の用語である、「命禄」という語で展開される。歴史的人物にも、己自身にも使う。「運命」という言葉と似ているが、少し違う。「禄」というくらいだから、なにか与えらるたものというイメージだ。だから「命禄が薄い」という言い方がある。
 入不二さんの運命論は、当然西洋哲学の流れに位置するもので、アリストテレス以来の運命論を通して、新たな運命論を提示しようとするわけである。それを入不二さん独特の言い回しで、

 私はこれから、その運命論を少しずつ移動させて、書き換えることを試みる。

と言う。そうすると今までとは違った運命論が生まれるということだろう。
 装幀が非常に、シンプルなように見えて、なにか意味ありげな凝り方である。

 きっと本書は、私にとって特別な1冊であり、主著と呼べるものに仕上がっていると思う。

と、「あとがき」には書かれている。

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可能性としての古典籍(2日目)

 10時30分からのパネル「総合書物学への挑戦」には、国文研から、陳さん、落合さん、入口さんが報告。国文研で、新しい学問領域を提唱しようとする共同研究の各代表者である。とりわけ入口さんの発表は、30万点の画像データを全部見るという前提での研究の可能性を探るもので、本のレイアウトや、文化としての表記を、それこそ領域の垣根を超え、「書物」という1点の共通点を土台に、しかも現物ではなく画像データでできる研究を具体的に提案するもので、刺激的な発表だった。
 落合さんの書誌学用語の再検討という課題には、ディスカサントという立場上、厳しめのコメントをしたが、この発表をきっかけに、私の中で、国際的な古典書誌学のありかた、画像データベースに付加すべき書誌事項についての考えがかなり整理されたので、ありがたかった。「奥書」と「識語」が混同されている例を挙げておられたが、それを間違わないためのひとつの前提として、当該テキストが成立した時に書かれたもの(印刷されたもの)と、その後に書かれたもの(捺されたもの、貼られたもの、挟まれたもの)との書誌事項を区別するフォーマットが国際的には望まれるのではないかと思ったのである。
 そして、聴いている方は冗談だと思われたかもしれないが、画像に現れない情報のひとつとして、紙質と関わることだが、「重さ」を量るというのはどうだろうと提案した。国際的には、この情報、結構重要だと思うんだがなあ。
 そのあとのコニツキー先生のご講演は、古活字版から整版へ移行する理由のひとつとして、「振りがな」の問題があるという、スリリングな仮説の提示であった。これまた面白い。その後、以前からの予定があって、やむをえず退席したが、あと二つのパネルも盛り上がったことであろう。
 
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2015年07月31日

可能性としての古典籍(初日)

 国文学研究資料館の大型プロジェクトに関わる、初めての国際研究集会が、本日と明日、国文研で開催されている。今日は、オープンサイエンスに関わる九州大学名誉教授有川節夫先生の基調講演と、古典籍データベースをめぐる4つの報告、およびパネリストの方々の討論があったが、想像以上に面白かった。
 有川先生の「古典籍共同研究とオープンアクセス」の講演。ちらっと九州弁らしきことばが出てきたと思ったが(「〜しきらん」)。
 オープンサイエンス、シチズンサイエンスという概念で、古典籍データベースの活用の可能性について、いろいろなご提言があり、非常に説得力があって面白かった。NACSISが、全国の図書館の目録入力業務のためのプラットホームになっているということの具体的な説明で、共同構築・共同利用のイメージが鮮明になった。上の人を動かす時は、「これは〇〇で初めてです」というのが殺し文句になるという話、なるほど、なるほど、である。
 オープンサイエンスとは、研究成果の広く容易なアクセス・利用が可能になるということ、現在、科研費研究成果公開促進費に、オープンアクセス雑誌のスタートアップを支援するための応募区分を新設しているということ。日本学術会議でもオープンアクセスの取り組みに関する検討委員会ができているらしい。京都大学では、論文の機関リポジトリによる公開を義務化したという。
 またシチズンサイエンスというキーワードも印象的。市民の中にはすごい人がいることは確かである。このブログにコメントしてくださった方で、江戸文学作品の翻刻をこつこつやってくださっている方がいた。いくらでも利用してほしいんですが、どうしたらよいのかわからない、ということを書いておられたが、今回のプロジェクトでは、そのような市民が参加できる翻刻プラットホームを作るという構想も語られていた。シチズンサイエンスという言葉は、しっかりと私の中には刻まれた。
 さて、続いて「古典籍研究の近未来」というパネル。寺沢憲吾氏が「ワードスポッティング」という研究について紹介。古文書の文字を画像として認識し、検索するシステムの開発。これは国際的には結構歴史のある研究だそうで、1996年にはじまり、近年の学会では17件もの報告があったということである。
 次の橋本雄太さんは、我々のプロジェクトの研究協力者で、8月からは特任研究員でもある。古典籍をめぐる国際共同研究には、現にある制約を解消する必要がある。その制約とは場所的制約と、能力的制約。場所的制約についていえば、古典籍に関する共同研究には研究者間の綿密なコミュニケーションが不可欠であるが、なかなかそれが実現しにくいので、対面でのコミュニケーションに近い環境をWeb上に実現する構想。たとえば共同翻刻。離れたところにいるチーム全員のPCに同じ古典籍画像と進行中の翻字が表示され、一緒に翻字作業を進めるイメージ。スカイプなどを併用して、Web上で「手紙を読む会」が実現できるという話。これは非常に有意義であろう。リアルタイム共同翻刻である。
 ついで北本朝展さんの報告の中で、印象に残ったのは、「利用」だけではなく、「関心」で人を集めることができるということ。昨今の「人文社会科学無用論」が、「ニーズ」をキーワードに語られていたことに対する、きわめて重要な反論根拠になるだろう。かつて立花隆が『宇宙からの帰還』の中で、宇宙開発というのは、天気情報を知るとか、そういう「役に立つ」ということでなされるのではなく、もっと根源的に「宇宙のことが知りたい」という本能的好奇心に基づいてされるべきだし、そのために国家がお金をつけるべきだというような意味のことを言っていたように思うが(これは、ものすごく前に読んだ本の記憶ですから、間違っていたらすみません)、それに通じる発想である。
 報告の最後の永崎研宣さんの報告では、大蔵経データベースが紹介されたが、世界でもトップクラスのアクセスを誇るだけあって、このデータベースはすごい。テキストに、辞典や該当箇所の英訳文参照システムなど、さまざまな注釈機能が付いているのである。新新日本古典文学大系というのができるとしたら、Web上で、この大蔵経のイメージではないか。
 世の中進みすぎていて、私には理解できない用語もあったが、また非常に有益な情報もありで、大いに収穫がありました。
 それにしても、今日はかなり多くの方が参加していた。この事業への関心は広いということで、文科省へ大いにアピールすべきでしょう。、
 個人的にはコニツキー先生と二十数年ぶりにお話ができたのは嬉しかった。
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2015年07月30日

大阪大学URAのメルマガで紹介されました。

このところ、頻繁に情報をアップしております、くずし字解読学習支援アプリの開発を目玉とする我々のプロジェクトが、大阪大学の大型教育研究プロジェクト支援室のメールマガジンで紹介されました。
わかりやすく紹介していただき感謝しております。
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2015年07月14日

「和本リテラシーニューズ」創刊

 日本近世文学会編集の『和本リテラシーニューズ』第1号が刊行される。日本近世文学会では数年前から、和本リテラシー普及活動にとりくんでいる。その一環として、このたびニューズレターを発刊した。

 学会員には、近く『近世文藝』に同封して郵送される。無料配布物なので、買うことはできない。しかるべきところに配布されるが、興味のある方は、私か下記メンバーがいくらか配布分を持っているので聞いてみてください。

A5判、カラー全16頁。
表紙には、
「あらゆる領域のヒントが詰まっている古典籍(和本)をどう読み、理解し、活用するか。和本教育の実践記録を伝える冊子、創刊!」
と記される。創刊号には4本の実践記録。小中学生対象で川平敏文氏。大学生対象で塩崎俊彦氏・西澤美仁氏、社会人対象で福田安典氏。ほかにくずし字を読むための書籍紹介、くずし字出前授業の実施のお知らせ、和リテの広場(くずし字教育に関するイベント情報)など。

特筆すべきは、この冊子のゆるキャラ「しみまる」。
「和本が大好きな虫、いや妖精。ヒマさえあれば和本を読んだり、ときには食べてしまうことも。特技はかけっこ。」と紹介されている。

 この冊子は学会の広報企画委員会が制作している。とくに広報企画委員長の神作研一さん、和本リテラシー部門の柳沢昌紀さんの献身的な働きと編集へのこだわり、そして福田安典さん、黒石陽子さんのご尽力のたまものである。私も委員だが、ゆるキャラを提案したくらいでほとんど何もやってない。ゆるキャラも、「くずっしー」という名前を提案したのだったが、「しみまる」の方が絶対にいい。ゆるキャラに関しては無理をお願いしたのに、すばらしい結果を出してくれた笠間書院の西内さんに感謝。

 当面3号までは紙媒体で出す。Webでも読めるようにするはず。いろいろと活用していただくことを願っているし、今後は他の学会とも連繋したいと思うのでどうぞよろしく。
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2015年07月12日

楳図かずお論

『楳図かずお論』(青弓社、2015年6月)
 これしかないという紅白横縞のカバー地に、これしかないというタイトルをゴシック太字で中央縦書。
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 著者、高橋明彦(号半魚)は日本近世文学研究者。
 この著書は、半魚高橋明彦が一番出したかった本であったはずだから、心から慶賀したい。
ここには、日本近世文学者としての高橋の「文学研究とは何か」というメッセージも篭められている。
彼の師匠は高田衛だが、高田衛のメッセージと基本的には同じだと思う。
 21頁あたり。文献学的に作品の元ネタを探し当てるような方法を楳図作品でやって一番気分のわるいのは私であると。ではどういう方法なのか?正直、そこは読んでないからわからないのだが(スンマセン)、ひとりよがりではないはずだ。
 自らヒロイックになっていることをちゃんと客観視できるような人の書いた評論だから、そこは安心して読めるはずだ。そもそも文献学的方法を実はかなりハイレベルで出来る人なのだ。
 
 500頁超で3600円+税とは、さすが楳図かずお研究書である。ちと羨ましい。
 最後に、敬称をつけていないのは、私なりのリスペクトである。
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