2017年05月01日

ニコニコ超会議に参加しました。

4月30日。ニコニコ超会議「超みんなで翻刻してみた」に参加しました。私は「しみまる」の生みの親、笠間書院の西内さんと、くずし字の初歩と、くずし字学習アプリの紹介をしました。生放送がされていて、1万人ほどが視聴されたようです(これは1日でってことですが)。他にも、先生方の講義がいろいろありました。
初めての幕張メッセ。初めてのニコ超。いたるところにコスプレイヤー、ゲーマーがいて、私達のブースの後ろを、なま宮崎駿が通る!など、自分が被り物をしていても、全く恥ずかしくないこの雰囲気。ただ想像以上に騒然としていて、自然に声を張り上げていたのか、ノドがガラガラになりました。しかし、何かもう一度来たいような気持ちもかなりありますね。大体様子もわかったので、準備の仕方ってのこうすりゃいいのかなってわかったしね。我々のブースは、ほとんど唯一の(となりに「日本うんこ学会」がいましたが)学術的なもので、ノリもゆるいものでしたので、逆に異彩を放っていたかもしれません。ともあれ任務終了。DSC02424.JPG
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2017年04月28日

ニコニコ超会議に出演します。

ニコニコ動画の大規模オフ企画、ニコニコ超会議が、4月29日(土)・30日(日)の2日に亘って行われます。同動画で月1の番組を持っていて、1万数千人の視聴者をもつ、京都大学古地震研究会の「みんなで翻刻」プロジェクトが、このニコニコ超会議に参加します。題して「超みんなで翻刻してみた」。
30日の13:00ころから、しみまるキャラクターボイスを務める私めが、ゲスト出演する予定です。出演時間は1時間ほど・初心者向けにくずし字のレクチャーをします。笠間書院の西内さんと一緒です。しみまるキャップを被る可能性大。短いレクチャーを何度か繰り返します。生放送が予定されています。http://live.nicovideo.jp/watch/lv295707090?ref=sharetw
そして、現場にくれば、しみまると、しばのすけのステッカーがもらえるらしい!
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2017年03月19日

『アプリで学ぶくずし字』電子版

『アプリで学ぶくずし字』の電子書籍版が出ました。いますぐ読みたい方、海外の方、ご利用ください。
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2017年03月14日

『小津久足の文事』書評を書きました。

『中央公論』4月号(3月10日発売)の「書苑周遊 新刊この一冊」で、菱岡憲司『小津久足の文事』(ぺりかん社)を取り上げました。本屋や図書館で見かけましたら、ちらっと見ていただければ幸いです。
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2017年02月28日

蘆庵自筆本六帖詠藻の翻字出版

 和泉書院から、『研究叢書486 小沢蘆庵自筆 六帖詠藻 本文と研究』(蘆庵文庫研究会編 2017年02月)が刊行された。B5判、788頁のずっしりと重い、学振研究成果出版助成図書。蘆庵文庫研究会メンバーは、大谷俊太・加藤弓枝・神作研一・盛田帝子・山本和明と私の6名。たいへんな事業だった。数年前蘆庵文庫本(現在京都女子大学所蔵)の翻字を科研報告書(またはCD)として出版したが、今回は、人名索引・初句索引と解説を完備し、底本も静嘉堂文庫の蘆庵自筆本に拠った決定版である。
 
帯には次のように記されている。

「蘆庵の神髄、いよいよ
その和歌、およそ17000首。歌論家として知られる小沢蘆庵(1723‐1801)の、和歌の全貌を初めて翻印公刊。歌論的言説も、連作の妙味も、妙法院宮真仁法親王や上田秋成との雅交も、あるいは双六歌や沓冠歌などの〈遊び〉も、蘆庵の日々の和歌の営みが、すべてここに明らかに――。
蘆庵自筆の静嘉堂文庫蔵本(50巻47冊)を底本とし、他本と校訂をして翻字。加藤弓枝「自筆本『六帖詠藻』と板本『六帖詠草』」ほか3本の論考を併載し、「人名索引」「和歌連歌/漢詩初句索引」を添える。収載された700名を超える人名はまさに蘆庵の交遊圏そのもの。蘆庵の和歌的生活がつぶさに知られて貴重である。
こたびの公刊は、かつてこの難事に挑み、蘆庵文庫本(現京都女子大学図書館蔵)を底本として全巻の翻字と他本との校合を終えながらも公刊を果たし得なかった医者にして蘆庵研究の先達、中野稽雪・義雄父子の意思を引き継いだ、いわば60年越しの宿願の成就にほかならない。」

 研究者の中でも知る人は知っているが、この『自筆本六帖詠藻』は、蘆庵の歌の全貌が知られるだけではなく、近世後期上方文壇の人的交流を明らかにする非常に貴重な資料。中野稽雪・義雄父子の思いと、それを引き継いだ我々の活動の軌跡については、大谷俊太さんの後語に詳しく記されている。関係者はたぶん涙なくしては読めない文章である。以下は目次

緒言―近世和歌史と小沢蘆庵― 神作研一

第一部 本文編 編集・校訂 飯倉洋一・大谷俊太・加藤弓枝・神作研一・盛田帝子・山本和明
 翻字凡例
六帖詠藻 
 春一〜春十一
 夏一〜夏六
 秋一〜秋十
 冬一〜冬六
 恋一〜恋三
 雑一〜雑十三
 
第二部 研究編 加藤弓枝
はじめに
論文1 自筆本『六帖詠藻』と板本『六帖詠草』 
論文2 小沢蘆庵の門人指導―『六帖詠藻』に現れる非蔵人たち―
論文3 『六帖詠藻』と蘆庵門弟―自筆本系の諸本を通して―

第三部 索引編 大谷俊太・加藤弓枝編
索引凡例
人名索引
和歌連歌初句索引
漢詩初句索引

後書 大谷俊太

 近世後期歌壇に言及する研究者には必携。そして是非図書館・研究室で備えていただきたい。
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2017年02月24日

自著を語る

日本の古本屋メールマガジン221号、自著を語る(番外編)に、拙編著『アプリで学ぶくずし字』についてのエッセイを書きました。こちらです。
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2017年01月31日

専門図書館

『専門図書館』第281号(専門図書館協議会、2017年1月)に、「くずし字学習支援アプリKuLAについて」という文章を書かせていただきました。要は紹介の文章ですが。
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2016年12月04日

真山青果の魅力!

 12月3日は一橋講堂で、学術シンポジウム「真山青果の魅力―近世と近代をつなぐ存在」が開かれた。500人収容可能の素晴らしい会場だったが、マックス120くらいの集まりだったかしら。芸能史研究会東京大会(早稲田大学)や演劇学会、国立劇場の歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」が2日目など、いろいろバッティングしていたこともあり、残念であったが、内容は非常に充実していて、実行委員としては90点をあげてもいいかなと思う。アンケートでも、全体としては好評だった。
 とりわけ神山彰先生の基調講演が素晴らしかった。数々の青果の芝居を縦横に論じ、その創作意識、近代演劇史上の位置、さらには今後の青果作品の生かし方に至るまで、内容の濃い、かつ面白いお話だった。あれだけ専門用語をつかいながら、そして私達が見ていない作品について語っているのに、ものすごくわかりやすいという、奇跡的な話芸である。先生のご講演を初めて聞いたが本当に驚いた。お願いしてよかったと思った。「演劇というものは自立していない(テキスト)」。「今の観客はボリュームを最大にしないと満足しない。いきおい力演型、熱演型が評価されるようになる」。「青果の成功は、新しいことをやっただけでなく、古いものを残したところ」。「青果が今後生き残るのは歌舞伎ではなく新派」など、印象に残ることばがいくつもあった。神山先生は長い間、国立劇場で実際に芝居に関わってきた方。年季が違う。演劇を知り尽くしていらっしゃる。本当に聞き惚れてしまった。
 パネリストとして登壇したのは、西鶴翻案ものを太宰治と比較して論じた丹羽みさとさん、青果文庫の調査から見出された昭和19年当時の青果の住所録を紹介しつつ青果の多彩な人的交流をあぶりだした青木稔弥さん、西鶴研究における真山青果の業績について検証し、その影響をわかりやすく論じた広嶋進さんの3名。いずれも青果文庫調査メンバーである。そして、難しい全体ディスカッションを仕切った日置貴之さんの捌きも実に見事。フロアからの質問を巧みに織り込んで、流れをつくる手腕は素晴らしかった。
 真山蘭里さんの挨拶も胸を打つものであった。このプロジェクトは、不思議な縁がいくつも重なって実現している。国文学研究資料館の山下則子さん、青田寿美さんはじめ、調査メンバーの献身的なご協力もあった。青田さんの作った展示リーフレットの文章は、「青果への愛にあふれている」と蘭里さんはおっしゃっていた。私がドイツにいてなにもお手伝いできない間、星槎グループのスタッフの皆さんや、国文研の皆さんには大変ご尽力をいただいた。松竹の協力、日本近世文学会の後援もありがたかった。すべての関係者のみなさまに、実行委員として感謝申し上げます。ありがとうございました。
 しかし、青果プロジェクトは、まだ終わらない。次なる挑戦がまたはじまります。また頑張ります。
 
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2016年05月20日

ドイツで『リポート笠間』60号を読む

 ドイツのハイデルベルク大学で、上田秋成の諸作品を読むゼミと、江戸の本を読むスキルをつけるゼミとを担当し、はやくも5週を終えた。3分の1終了である。どちらの授業も、当方の予想とは違う所で立ち止まり、議論になり、あるいは解説を補足する。授業には、ハイデルベルク大学のアロカイ先生も参加し、こちらの進め方を一たんストップさせたり、軌道修正してくださることもあって、大変助かっている。
 秋成の授業では、ドイツ語での議論になることもあり、もちろん学生たちはその方が深い議論ができるに決まっているのだが、私にはその機微はわからない。アロカイ先生が議論のポイントを通訳してくれる。面白いことに、どちらの授業にも日本人の受講生がいて、彼らは日本語の方が得意なわけである。しかし、彼らもドイツ語の議論には参加する。アロカイ先生が、最も全体の流れを把握している。私と学生の十全なコミュニケーションが出来ないなかで、さまざまな意志疎通の方法が試されている。
 秋成の作品を読む授業では、「菊花の約」とシラーの「人質」との比較が議論になった。「走れメロス」の典拠でもある。日本の演習ではまず出てこない議論である。こちらも非常に勉強になる。
 もうひとつの、江戸の本を読むスキルをつけるゼミでは、くずし字を読み、その意味を理解し、ドイツ語訳をするというところまでを一連のワークとする。これもアロカイ先生の支援なしには考えられない授業である。KuLAでの予習と、3回にわたる宿題で、彼らはかなりスキルを身につけてきた。日本の古典籍を真剣に読みたいという学生もいて、その熱意は大変なものである。
 こういう、いつもの年と全く違う試行錯誤をしている私の手元に、笠間書院から、福田安典さんの『「医学書のなかの「文学」』と、『リポート笠間』60号が届いた。今回拙文が載ったことと、福田さんの本の出版のタイミングが重なったので、わざわざドイツまで送ってくださったのは、まことにありがたい。
 福田さんの新著については、別に書くことにする。『リポート笠間』は近年面白い特集をやってくれるが、今回は「論争」で、ここに私自身も書かせていただいた。拙文はすでに笠間書院のサイトに掲載されているが、今のところ特段の反響はない。私は「菊花の約」の拙論を批判した木越治氏の『上田秋成研究事典』の「菊花の約」研究史の中での拙論への言及に反論を書いて載せてもらった。頁数の制約で、かなり削ったため、意を尽くせたかどうか不安だったが、一番反応が欲しかった木越氏自身からは、既に「読んだよ」という連絡があった。んー、何て言われるかしら、と覚悟を決めたが、反論はきちんとした活字媒体でやってくださるとの事、こんなに嬉しいことはない。
 ところで、今号の笠間リポートでありがたいのは、前述したKuLAについてのレビューが二つ掲載されていたこと。一つは岡田一祐氏の、変体仮名あぷり・MOJIZOとならんでのKuLA批評。たしかこの元になった文章はネットでみていた。たしかに練習問題の際に、前後の字が映り込むという指摘はおっしゃる通りである。しかし、そのマイナス面も計算に入れた上で、あえて残したということもある。そちらの方が実践的であると思うからだが、実際に、検証していないから何とも言えないところ。とまれレビューをいただいたことには深く感謝する。
 また、「面白かった、この三つ」でも、植田麦氏が、KuLAを取り上げてくださった。ありがとうございます。こちらハイデルベルク大学でも、アプリを自習教材として使っているが、学生たちは着実にテストの「全問正解」のスタンプを増やしていっている。いま日本(文)学を学ぶ学生の、隠れたベストセラー(無料だが)なのかもしれない。すくなくととも、『くずし字解読辞典』を探すのも大変な海外の日本研究者には、活用していただきたいと願うものである。
 このほかに、古田尚行氏の国語教育の現場からのご提言、日置貴之氏の演劇研究者としての視座が随所に光る安藤宏著の書評、入口敦志氏の「面白かった、この三つ」に垣間見える大きな問題意識、そして勝又基氏の「目録」国際シンポ報告が面白かった。勝又氏がアメリカで一年研修をして実感したことは、おそらくこれから私も実感として理解してゆくことでなければならないが、僭越ながら大いに共感を持って読ませていただいた。海外からのアクセスを前提に、あらゆるデータベース構築は考えられる必要がある。折角データベースを作っても、それをどうやったら見てもらえるかというところの配慮がどうなんだろうというケースが確かに多いのである。望まれるのはプラットホームの構築。少なくとも英語版は必要。それができるのは今のところ国文研。だがそれには人的資源と経済的資源が必要であろう。ここが問題。
 データベースや現物の情報が得やすくなれば、今やくずし字学習を必須と考える海外の日本研究者と日本の研究者が議論を共有できる可能性は飛躍的に広がるだろう。
 
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2016年04月14日

ドイツにしばらく参ります

みなさま。明日、ドイツに向けて出発し、4ヶ月ほど滞在、帰国は8月の予定です。
ハイデルベルク大学での教育活動が主な仕事です。
いろいろと学んで参りたいと思っております。
十全な準備にはほど遠いのですが、当地には日本の研究書・参考書が充実しているとうかがっております。
本はあまり持っていかず、荷物はスーツケース一つに収めて行くつもりです。
私への郵送物がある場合、転送の段取りはしておりませんので、ご了承ください。
もし、小包とか宅急便などでしたら、大学の方に出していただければ幸いです。管理してくださいます。
560-8532 豊中市待兼山町1−5 大阪大学文学研究科 宛です。
どうぞよろしくお願いいたします。
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2016年04月08日

みのおエフエム「まちのラジオ」に出演します

みのおエフエムという、コミュニティラジオに「まちのラジオ」という1時間番組があり、月1回で大阪大学社会連携事業の一環として、阪大の研究活動などを紹介しているのですが、このたび、くずし字学習支援アプリが話題となったため、私に出演依頼がありました。
社学連携の担当の職員の方がコーディネートし、聴き手は、工学部の学生さんです。
まず、大学で打ち合わせをし、日を改めて収録のためスタジオ入りしました。
ラジオのスタジオに入るのははじめてなので、興味津々ですが、編成の方が、なんと野間光辰先生の御親戚の方であったのにびっくり。血がつながっているからでしょうか、私の持ち込んだ短冊や和本に、くいついておられました。御祖父さんの御兄弟が野間先生にあたるそうです。
番組では、私が日本近世文学を研究するきっかけなどから、雑談風に入り、昔話をひとくさり。間にはいる曲も、その想い出と関わるものです。そして、メインのくずし字学習支援アプリの話はたっぷりさせていただきました。さらに、古典とは、とか、江戸文学とは、など、それしゃべらせたら止まらないぜーとばかり、饒舌にたぶんしゃべっていて、収録時間を大幅にオーバーしたので、相当カットされているはずです。
放送は今月14日の15時からと21時から(再放送は17日13時から)、インターネットラジオで、どこからでも聞けますので、お暇でご興味のある方は、こちらをご参照ください。みのおエフエムへのリンクも貼っています。
収録はとても楽しかったです。聴き手の学生さんはじめ、スタッフのみなさん、ありがとうございました!
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2016年03月27日

発表終了。感謝。

 26日の京都近世小説研究会。有澤さん・神谷さんの、資料を駆使した、新地平を拓く発表に感心したあと、「木越治氏の批判に答える」というタイトルで、秋成事典「菊花の約」研究史をめぐる木越氏の記述について「反論」という内容。口頭発表は必要ないのではともご本人から言われていたが、いやいや、きいていただいてよかった。あぶないところだった。文字通り、貴重なご批正をいただいたのでありました。あらあら出来ていた原稿をかなり書き直すことにいたします。
 「批判」(じゃないとも言われましたが)の要点は2つ。1〈近世的な読み〉を標榜しつつ単に飯倉の読みが展開しているだけ。2尼子経久をさも重要な人物として引っ張り出してくる読みは作品論といえない。このうち1のポイントが何かというところにつき、貴重なご指摘をいただいたほか、たくさんのご意見をいただき、作品論を考える愉しさを味わった。 ありがとうございました。
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2016年01月04日

雅俗小径

中野三敏先生の傘寿を記念する小冊子『雅俗小径』(雅俗小径刊行会、非売品)が、昨年末、傘寿祝賀会において披露され、関係者に配布された。執筆者は、中野先生のご講筵に連なる者、雅俗研究会のメンバー併せて25名。宮崎修多序(擬古文)、研究余滴編は板坂耀子さんほか、懐旧雑記編は白石良夫さんほか、これはほぼ同数。編者の川平敏文さんがあとがきを書かれている。『雅俗』会員には配布されるとか聞いたような気もするがよく知らない。研究余滴の中にも懐旧的な内容が含まれたりしており、読んで楽しいものである。私は「時代の先をゆく中野先生」と題して書いた。
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2016年01月01日

上田秋成研究事典

あけましておめでとうございます。本ブログも9年目に突入しました。今年もよろしくお願いいたします。

笠間書院から、『上田秋成研究事典』(秋成研究会編)が、この1月に刊行される。関係者には見本がすでに配布されている。私もこの中の「秋成の和文」(400字詰原稿用紙約30枚)を執筆している。ただし、「秋成の伝記」を執筆した長島弘明さん、「秋成の学問」を執筆した稲田篤信さんもそうだが、秋成研究会に所属しているわけではなく、ゲスト格?である。それ以外は、木越治さん率いる秋成研究会のみなさんによる共同執筆である。私らの立場は、本の執筆者としては内側の人だが、非会員ということでいえば外側の人である。よって、すこし批評的に本書にコメントすることも許されるかなと思う。

『事典』を名乗っているが、研究ハンドブック的な性格を持つ。それも『雨月物語』『春雨物語』に紙幅が大きく割かれている。秋成の文業を総合的に考えれば、それはいささか偏っていると言えるが、現在までの研究状況や国際的な秋成受容の現状を考えれば、当然の措置である。雨月・春雨につては、作品別研究史という形をとっているが、こういう形で研究史を一覧できるものが、従来あまりなかったので、重宝であるとともに、やはり「作品論」が中心であるという従来の研究ドグマに縛られているとも言える。これもオーソドックスなハンドブックを作ろうとしたらそうなるのは仕方がない。『雨月』『春雨』以外の作品もいくつか取り上げられているし、それ以外の著述についても、「和文」「伝記」「学問」というトピックでカバーできるようになっている。まあ、この『事典』をひとつの秋成研究の規範とするならば、我々教員は、それを利用させていただきながら、自らの秋成観をそことのズレを強調しながら語ることができるだろう。
 
 きわめて有益なのが「典拠作品の世界」である。『雨月物語』の中国典拠について、解題、書き下し、現代語訳を付ける。長尾直茂さんと丸井貴史さんの労作である。とりわけ白話小説を担当した丸井さんのご苦労は察するに余りある。ありがとうございました。この部分、本書の白眉だと言ってよい。

 雨月の研究史は分担執筆で、それぞれが思い通りに書いている印象であるが、とくに木越治さんの「菊花の約」は、主要な論文を揚げて論評するというスタイルで他とは異なる。ここに拙論が取り上げられたのは、まことに有りがたいことで、深謝申し上げる次第であるが、ただ「きつすぎる物言い」かもね、と木越さんがおっしゃっているように、かなり批判されているのでありました・・・・。ここまで批判されると、むしろ研究者としては嬉しいわけではあるが、『事典』を名乗る本書にこうまで書かれては黙っているわけにもいきません。いささか誤解もあるのではないかと思うし、「批判として成立しない」と思われる部分もあるので、(あ、これは拙論が「作品論として成立しない」と書かれていることを踏まえているんですが)、反論を書きたいと思うわけであります。
 だが、それはともかくとして、この事典が、秋成研究史上、画期的な成果であることは確かである。とくに、卒論を書こうとする学生や、秋成を演習や講義で受講している学生には、非常に助かる本である。当然、読むように勧める。
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2015年12月22日

私たちの研究を社会に還元するということ

 自分の研究が、社会にどう還元されているのか、社会とどう関わるのか、ということは「文学(研究)無用論」が、いよいよ「文(系)学部不要論」の議論に「展開」している最近、意識せざるを得ないことである。

 そういう意味で今年は、4月・5月・11月・12月に、一般の方を相手に講演をする機会に恵まれて、その手応えを感じることが出来てよかったと自分では思っている。とりわけ4月の「懐徳堂と町人文化」の講演に対しては、富士精版印刷株式会社の『富士』という雑誌にまで取り上げていただき、非常に嬉しく思ったこと、本ブログにも書いたところである。
 
 そして、本日拝受した最新号の『富士』169号には、会社が「上方文化芸能運営委員会」の法人会員となったという記事があった。そのきっかけになったのが、私の講演を含む同委員会主催の「町人文化を味わう」ツアーのレポート記事だったというのである。私のブログのことも書いていただいているのだが、なんとスマホで私のブログにアクセスできるQRコードまで載せていただいているのである。これには恐縮、感激。この場を借りて御礼申し上げます。

 5月は中野三敏先生旧蔵の和本の展示にちなむ講演会で九州大学の図書館でしゃべり、11月は、立命館大と阪大のコラボである京都大阪文化講座で、新町遊郭のことを話し、12月は宝塚の図書館で、やはり蓮月尼の展示にちなむ話をさせていただいた。いずれもびっくりするほどみなさん熱心であり、また質問のレベルも非常に高い。我々の研究の社会還元のありかたのひとつには間違いなくこういうことがあると、確信した次第である。

 私の所属する日本近世文学会では、和本リテラシー(くずし字の読解能力や和古書の知識)を啓蒙する出前授業もやっているが、最近、結構大がかりな依頼がある高校から来て、広報企画委員が対応している(出前授業についてはこちらをご参照ください)。江戸の文化や古典に興味を持っていただければ、本当に嬉しいことである。
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2015年10月24日

くずし字教育プロジェクトのゲリラ的研究会、有意義でした。

昨日大阪大学豊中キャンパスで、くずし字教育プロジェクトのゲリラ研究会、「海外における日本研究の現状とくずし字教育の新たな試み」が行われた。こちらの予想を上回る30名ほどが参加した。
 まず、アプリ開発を中心になってすすめてくれている京都大学大学院の橋本雄太さんが、アプリ開発の現状を報告し、デモを行った。また文字・用例の取集担当の大阪大学い大学院の久田行雄さんが、文字収集と用例収集をどう行っているかを報告した。それに対する質問や意見が非常に参考になるものであった。早速、これらを取り入れて開発をつづけていくこととした。アプリの名称は、KuLA(Kuzushi-zi Leaning Application)と発表された(これは確定ではないが)。案内役は、和本リテラシーニューズのゆるキャラ、しみまるが務める。本日のデモ内容に加え、さらにテスト的要素、達成度確認、くずし字学習コミュニティの形成などの構想が語られ、議論された。
 今回のゲスト、ミシガン大学のジョナサン・ズイッカー先生は、急な依頼にもかかわらず、ご自身の日本における調査と絡めて、くずし字学習の重要性を説いていただき、大変励みになった。このアプリを国際展開していく上で何が重要か、という点につき、きわめて有益なアドバイスをいただいた。
 懇親会も密な交流が出来た。どうやらズイッカー先生には、来年2月に予定されている国際シンポジウムにも参加いただけそうである。 
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2015年10月16日

『楳図かずお論』書評

先に紹介した、高橋明彦さんの『楳図かずお論』ですが、もう少し、第11章のあたり、きちんと読んでコメントしたいと思っていたところ、渡りに船とばかり、西日本新聞から書評の依頼がきました。9月中旬ごろのこと。で、すぐに書かねばならなくなり、9月18日ごろ送りました。安保国会などで新聞紙面も大変になり、掲載が1週間のびたようですが、10月4日に載りました。新聞そのものはまだ私の手許にないのですが、PDFを送っていただいたので、ここにアップロードしておきます。
20151004西日本新聞楳図かずお論.PDF
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2015年07月29日

くずし字学習コミュニティ?

科研(挑戦的萌芽研究)プロジェクト「日本語の歴史的典籍に関する国際的教育プログラムの開発」が、くずし字解読学習アプリ開発のために行っているアンケートについて投稿したら、ツイートしてくれた方が100人を超えました。本当にありがとうございます。そして実際にアンケートに答えてくださった方も、お昼の段階で160を突破いたしました。「刀剣乱舞」というゲームユーザーの中に、くずし字に関心をもつ人が結構いることもわかりました。我々が開発しているアプリもゲーム的要素を取り入れたり、解説担当をする「ゆるキャラ」を設定することなどを考えています。博物館なんかで読めない字を(あくまで写真撮影可能なところですが)撮影してアップし、アプリユーザーに「この字読める〜?」と聴けたりするとか、「くずし字学習コミュニティ」を作るという構想もあります。みなさまの応援のおかげで、いろいろとアイデアも広がってきました。よいアイデアや、こんなゆるキャラどうですか?などのご提案をお待ちしております!
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2015年06月26日

国際的「くずし字教育」の展開へ向けて

 国文学研究資料館の歴史的典籍に関する大型プロジェクトのサイト。ページが更新された
 各種共同研究が紹介されているが、この中の、「拠点主導研究」のひとつをやっている。題して、「日本の歴史的典籍の画像データベースを利用した国際的教育プログラムの開発」。

 この共同研究は、私が代表を務める科研挑戦的萌芽研究とも連動するもので、さらには大阪大学文学研究科の「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築クラスター」とも関わっている。
 
 共同研究には3つの柱がある。ひとつは、海外におけるくずし字をはじめとする和本リテラシー教育の現状の情報を収集すること。ふたつめには、彼らのニーズをききながら、くずし字学習アプリを開発すること、三つめは、国文研の画像データベースを利用して、どういう和本リテラシー教育が可能かを議論すること、である。今後の日本学の国際的展開を念頭に置きながらの議論となり、海外の日本研究の方のご協力が欠かせない。
 7月31日・8月1日には、大型プロジェクトに関わる国際研究集会が国文研で行われるが、我々のチームに所属する方が発表し、私もディスカサントとして出ることになっている。

 また来年2月17日に大阪大学で国際シンポジウムを開催するが、そこでの議論を実りあるものにするために、目下、チームで議論を重ね続けているところである。この話題は、逐次本ブログで報告していくつもりだが、いずれこの共同研究のWEBサイトを発足させることになるだろう。
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2015年05月17日

江戸文化辻談義

16日(土)、九州大学中央図書館で「江戸文化辻談義―中野コレクションから見えるもの」というテーマの講演会が行われ、中野三敏先生が「私の江戸学」(1時間)、私が「読本コレクションと談義本研究」(40分)、岩坪充雄氏が「近世拓本の世界」(50分)と題して、それぞれ講演を行った。
「雅俗繚乱」という秀逸な命名のテーマの下、中野先生が寄贈された雅俗にわたる珍書の展覧会が行なわれる中、充実した展示図録を手にした200名ほどの聴衆を前に、まずは中野先生が、みずからの雅俗観や、収書体験、和本リテラシーなど日頃からお話になっていることを、今回の展示にも触れながら自在に語られた。これぞ辻談義である。ついで私は、九大の読本コレクションの特徴と、中野先生の談義本研究の意義を中心に、今後の九大での談義本研究の継承を願いつつおしゃべりをした。トリの岩坪氏は、豊富なスライド資料を用意され、法帖の版木や、同一人物同一筆跡の書の正面摺と左版を比較して見せるなど、興味深い事例を次々に紹介し、文字通り「近世法帖の世界」を堪能させてくださった。岩坪氏とは今回初対面だったが、同じ新幹線で福岡入りし、同じタイミングでトイレに行き、同じタイミングで到着したが、互いに挨拶したのは図書館到着後であった。
 聴衆はやはり中野先生のご講演の時がマキシマムだったかと思うが、とにかく遠方から多数の方が来聴されていたのには驚いた。
 各講演後にはトークセッションが行われ、「中野先生にききたいことは?」という進行役川平敏文さんの振りがあったので、先生が「江戸に即して江戸を学ぶ」ということから学んだ現代を生きるために指針というのはなにかとお尋ねしたのだが、答えは意外といえば意外、「倫理観」だった。

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