2026年04月18日

老いと死のことば

鈴木健一『老いと死のことば』(岩波新書、2026年2月)。
鈴木さんも、老いを自覚される年齢になられたんだなあ、と妙な感慨。5部構成で、T老いていくこと U長生きを寿ぐ V人との別れ W死の瞬間 X死後を思う。表題にあるように、「かしらの雪」「老いらく」「おくれ先だつ」「あなや」「玉祭り」などのキーワードを手がかりに、和歌を中心に古代から江戸時代まで、多くの用例を引いて軽快に論じる。「老」「死」を話題にしながらも、どこか明るいのは、著者の人柄からくるものなのだろう。
「老い」も「死」も不安と背中合わせである。そして準備がむずかしい。前からではなく、背後からやってくる。自分のことも他者のことも。だからこそ、人はそれを歌にするのだろう。
 とりわけ「死後の世界」は未知で、不可測な世界である。それゆえに、宗教は死後の世界を様々にイメージとして提示する。冥界と此界の交通が、文学の大きなテーマとなる。「老い」と「死」を入口に古典文学の世界を味わってもらうという鈴木さんらしい、読みやすい新書である。
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